デリバリーに超人気のブリヂストンTB1eを買うなら知っておきたい事情とは。

​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​今日のちどり屋さんが教える事情。

​スポーティな電動アシスト自転車の本音です。

中でもブリヂストンサイクル「TB1e(ティービーワンe)」は、この数年スポーツ系の電動アシスト自転車の中でもトップクラスの販売台数となっており、全国どこでも見かけるほど、日本を支配しつつあります。 ​​​​​ このTB1e、2020年モデルまでもそれはまぁ劇的な距離を走りました。 1充電あたりの走行距離目安 エコモード130km オートモード90km パワーモード54km ところがどっこい、2021年モデルはこんなもんじゃありません。

  • エコモード200km
  • オートモード105km
  • パワーモード62km

​​​​​​​​​​​​​​​ ​しかもですね、これはあくまでも業界統一基準の「標準パターン」と言われる走行基準で得られた結果でして、​実際には「普通に乗っていたらこれ以上走れる」という声がわんさか。

​そして、なぜこんなに走れるのかというと、ブリヂストンが力を入れているデュアルドライブというシステムのおかげ様です。

通常の電動アシスト自転車ではモーターがペダルの付近についていることがほとんどです。 もしくは、後輪についている場合もありますが。

 

しかし、ブリヂストンのデュアルドライブは、モーターが前輪に装着されており、前輪は電気の力で回してくれるので引っ張ってくれるように走行します。

一方、後輪は普通の自転車の様にペダルを漕いでチェーンを回し、その伝達で後輪を回します。 つまり、前は電気の力で、後ろは人の力でタイヤが回ります。

前後ともに駆動するということで、両輪駆動ともいわれます。

 

で、なんの話だったかというと、なぜ驚くほどの距離を走行できるのかということ。

それは、前輪についているモーターが、ブレーキで発生した電力をバッテリーに戻して充電してくれるからなのです。 そうです。​充電しながら走行できるのがデュアルドライブ​なのです。

ではでは、能書きはこのくらいにしといて、裏事情にいきましょう。


 

​どうして2021年モデルは距離が長くなったの?​

そうですね、2020年モデルよりもグググググンと伸びましたね。

値段が高くなったからでしょうか?

車両が軽くなったんでしょうか?

バッテリー容量が大きくなったんでしょうか?

いずれも違います。

 

いや、値段が高くなったのは、間接的に影響あるのか?笑

答えは、下り坂自動回復充電の仕組みが、チョロチョロっと変わったからです。 今までも下り坂でスピードが上がると、自動で回復充電という機能が働いて勝手に少しだけブレーキをかけてくれていました。 そのブレーキによる「制動力」というやつが電力を発生させて、それが充電されていたというわけです。

それが2021年モデルからどう変わったかというと、 ​「下り坂が一定時間継続した場合に制動力を上昇させて充電量を増やした」​ というのです。

つまり、「長い下り坂は途中から勝手にブレーキを強くしちゃおうぜ」とシステムが言っているのです。 これによって、 ​ブレーキが強くかかる=制動力が増大=電力発生が増加=充電いっぱいされる​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​​​ということです。

 

「これはとても嬉しいことですね。」 というのが表面的な感想です。

 

では、裏事情的な感想です。 このシステムの変更、すごいことなのでしょうか? いいえ、特にすごくありません。 距離だけ聞くとすごいんですが、メーカーの本音はきっとこうです。(想像です)


​​コロナの影響で部品も無けりゃ、あっても価格高騰しやがってよぉ。​​

もともと利益率が低い電動アシスト自転車なのに、どうすりゃいいのよ。​

​そうだ、もう値段上げるしかねぇな!それしかねぇ!​

​でも​値段上げたら売れなくなる​じゃねぇかよ。

​​役員から絶対怒られるじゃんかよ。​​

どうすりゃ…どうすりゃいいのさ!

…そうだ、システムいじって距離伸ばそうかな。 ​​

システム変えるだけなら簡単だしな。​​


ということが現実だと想像します。 ある意味、リミッター解除みたいなのを、メーカーが先にやってくれました。みたいな。 ​​​​ では結論として、これをどう理解するのが正解かというと、

  • コロナのせいで車両価格が8,000円以上あがった。
  • 値上げのレベルが半端ないので、ちょっとシステム変わった。
  • 長く走れるのは嬉しいが、画期的な技術ではない。
  • でも、TB1eはカッコいいし、人気だし、欲しい。

ということで、正しくご理解を。 ​​​

 

​TB1eって、登り坂…厳しいの?​​

そうそう、TB1eに限ったことではありませんが、デュアルドライブのモデルは急な登り坂が不得意だっていうのは本当なのでしょうか?

​​​​​​正解は、​本当です。​

電動アシスト自転車なのに、登り坂が不得意ってマズいんじゃ…。」 そんなことはありません。 ここで言う、デュアルドライブが不得意な登り坂とは、​激坂​と思ってください。

激坂と言っても人によって急と感じる斜度が異なるわけですが、デュアルドライブが不得意なのは傾斜25%以上というのが目安と思います。 そんな坂、普通の人なら自転車に乗って登ろうと思えないはずです。

ところが、そうも言えない時代になりました。 ヤマハパナソニックの、センターモーターユニット式の電動アシスト自転車は、モデルによって楽々に登れてしまうのです。 どれも全てが楽々というわけではありません。モデルによります。 この差は何かというと、

  • モーターの位置
  • スリップ制御

この2点が大きな要因です。

 

まずはモーターの位置。

デュアルドライブは、モーターが前輪についています。 かなり急な坂を自転車で登るとき、みなさん体にかかる力はどうなっているか想像できますか? 立ち漕ぎにしろ、座って漕ぐにしろ、ペダルにはエッサホイサと思いっきり力を入れているはずです。

さて、ペダルを強く足で押すということは、押した分の力がペダルを回す力にもなりますが、一方で体が立ち上がろうとする反動にもなります。 それを抑制するために、ハンドルを握っている手にはものすごく力が入っていることが大半でしょう。

その手の力がどう作用しているかというと、ハンドルを上方向にひっぱり上げる力になっています。 ​急な坂ではペダルを力強く踏むのと同時に、ハンドルを引っ張り上げています。​ そうするとどうなるかというと、​前輪が持ち上がります。 こうなると、前輪にモーターがついているデュアルドライブは、モーターの電力の力が地面に働かなくなるので、坂を上ってくれるパワーが一瞬にして途切れます。

 

激坂を登っている途中で、今まで掛かっていたモーターの走る力が「フッ」と無くなった瞬間、90%以上の人は「うわっ!」っとテンパることでしょう。 そのまま漕ぎ続けられる人は少ないはずです。(その特性を知ってる人なら別ですが。)

 

一方で、ヤマハパナソニックを中心としたセンターモーター方式の車両は、前輪が浮いてしまったとしても、後輪さえ接地していれば登り続けてくれます。

モーターが発する電力の力もペダルを漕いでいる足の力も、どちらも後輪に働いているので、後輪が浮き上がるということがなければ、登り坂は割とスイスイ登ってくれます。

この違いが、激坂においてのデュアルドライブとセンターモーターなのです。

 

そして、デュアルドライブのスリップ制御も悪影響を及ぼします。

スリップ制御とは、雨の中やマンホールの上を走行したときに、スリップを検知して車輪の回転を止めてくれる機能です。 ツルッと滑ってしまった場合、そのままモーターの力でタイヤが回り続けてしまうと、車体の操作が思うようにいかずスッテンころりんと転倒してしまう可能性が高くなるので、タイヤのアシスト回転が止まることは好都合なことも多いでしょう。

ただし、今回は激坂を登っているときの話です。

 

さて先ほど、激坂を登っているときは前輪が持ち上がってしまうと説明しました。

前輪が浮いている状態になると、タイヤ君はどう思うでしょうか。

 

あれ、いままで地面を転がっていて回るのが大変だったのに、 急に回るのがスムーズになったぞ? もしかして、スリップしたんじゃないっすか!?

 

ということで、スリップ制御が作動します。

スリップ制御が作動するということは、モーターが止まります。

激坂で前輪が持ち上がるとは言っても、一瞬です。 その一瞬でスリップ制御が作動してモーターが止まるのですが、厄介なことに、前輪が地面に降りたあとも、なかなかモーターが再始動してくれないのです。

激坂でモーターが止まるほど、精神的にヤラレることはありません。

​これがデュアルドライブが激坂を不得意とする所以です。

 

最低な自転車ですね。

そう思ったあなた。

 

違うんです。 私はデュアルドライブをけなしたかった訳ではありません。

それぞれの特性にあった、ベストな走行環境があるのです。

 

それと、補足としてお伝えしておきますが、 ​​デュアルドライブが苦手なのは正確には「激坂の登り」です。

むしろ​「激坂の下り」は、他のメーカーと比べれば得意中の得意​です。 ​

みなさんお気づきでしょうか? 激坂があるということは、「登り」があれば「下り」があるんです。

そりゃそうだ。

 

前輪が浮いてしまうほどの激坂なら、下り坂はさぞかし怖いです。

こんな下り坂、よくあるリムブレーキローラーブレーキで下るのは、減速や停止の性能が追い付かない可能性があるうえ、頻繁にそこを走行していればあっという間にブレーキの消耗に繋がり、ブレーキが効かずに事故に遭いましたという日も近いことでしょう。

 

そこでデュアルドライブ。 何度も言っている通り、デュアルドライブはモーターの制動力を電気に変えてくれるのですが、それはつまりクルマでいうエンジンブレーキの様なものです。

自転車の両手で操作する前後のブレーキに加えて、モーターが車輪が速く回るのを抑えてくれるので、激坂の下りでは半端ない安心感なのです。

ここまで聞くとお気づきでしょうが、センターモーターの車両では激坂の登りを楽々に登れたとしても、帰りは恐怖の下りが待っています。

それぞれの車両の特性と、環境走行環境のマッチングというのはこういうことなのです。

 

そこでさらに、走行環境についてお話します。 デュアルドライブは、その魅力のほとんどを「回復充電ができる自転車」として認識されています。 この回復充電なんですが、充電効率と走行の効率が良い環境というのがデュアルドライブファンの間ではある程度定まっています。

それは、​なだらかな坂が沢山&延々続く様な地域。​

 

日本中が激坂なわけではありません。

「うちの近くに急な坂がある!」と言っても、傾斜が25%を超える様な坂ばかりという地域は割と一部です。 あなたの地域はどうでしょう?

25%を超える坂ばかりで、デュアルドライブではたまったもんじゃない。という方は、ヤマハパナソニック、もしくはブリヂストンヤマハ共同設計モデル(センターモーター)にすると良いでしょう。

でも、「そんな坂は何個かあるくらいかな?」とか、「回復充電楽しそう」とか、「めっちゃ長い距離走りたい」という方は、むしろブリヂストンのデュアルドライブにしない手はありません。​​​​​​​​​​​​​​​​​​

さて、まだまだ裏事情を続けたいところですが、またゆっくり追記ます。 どのお店で買うとどうなんだ…という裏事情も。​​ お楽しみに。