ヤマハがインドの会社と電動アシスト自転車用モーターユニットの製造を行う合弁会社設立に向け署名。

2021年10月29日に、電動アシスト自転車の業界に関する情報が発表された。

 

電動アシスト自転車業界における国内3大メーカーのひとつであるヤマハ発動機株式会社が、インド最大の自転車メーカーであるHERO Cycles社の子会社であるHERO Motors社との間で、電動アシスト自転車用モーターユニットの製造を行う合弁会社設立に向けた契約に署名したとのこと。

 

合弁新会社の資本金(設立時)は2億2000万インドルピー(約3億2800万円)。 この合弁新会社にはヤマハ発動機が10%、HERO Motors社が90%を出資し、11月末にインドに設立予定。

 

現在、最も大きな電動アシスト自転車市場である欧州においては、ホイールの中央にモーターユニットを配置する「ハブモーターユニット」が、市場の約半数を占めているため、今後、グローバルでの電動アシスト自転車市場の伸長とともに、「ハブモーターユニット」の重要性が高まると予想し、今回の合弁会社設立に向けた署名に至った。

 

ヤマハ発動機はこれまでPASシリーズ、YPJシリーズの大きく分けて2つの軸で電動アシスト自転車を展開しているが、いずれもモーターの設置方式は「センターモーターユニット」と呼ばれる車体の中央にモーターユニットを配置する設計。 これに加え、今回の合弁会社で製造を行う「ハブモーターユニット」を併せ持つことで、ヤマハが日本国内での優位性を高めていくことは容易に予想される。

 

また、3大メーカー同士の関係性にも変化が生まれてくる可能性が高まった。

現在、国内の3大メーカーのうち「ハブモーターユニット」を中心に展開しているのはブリヂストンサイクル(前輪ハブモーター)のみだが、数車種に関してはセンターモーターユニットのモデルもラインナップしている。しかし、それらのモデルに搭載されているモーターユニットが実はヤマハ製なのである。

車体のフレーム自体はブリヂストン、モーター・電装関連がヤマハという共同設計の商品をお互いに商品名を変えて販売していたのだが、この所はそれらのモデルの変化が乏しく、共同で新たな製品づくりに力を入れていくことは無くなっていくのではないかと感じる。

 

数年前までは、「ヤマハブリヂストンは同じ商品を名前を変えて売っている」というイメージがあり、独自に進化を遂げているのはパナソニック(サンヨーと事業統合)のみと思われる状況が強かった日本の電動アシスト自転車業界ですが、ここへきてヤマハは独自の技術が盛り込まれたセンターモーターユニットにハブモーターを加えるという展開を見せ、ブリヂストンは前輪ハブモーターの進化に突き進み、パナソニックはこれまでのセンターモーターユニットを進化させていくというこれまでに見ない状況。

各社がそれぞれ違った道に進み始めているようだ。

 

いずれにせよ、電動アシスト自転車においてはパイオニア的存在のヤマハ発動機が再び日本国内に及ぼす影響は高まっていき、世界を見据えた新たな展開をしていくことが非常に楽しみである。